かくして彼女は宴で語る 明治耽美派推理帖

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  • 幻冬舎 (2022年1月26日発売)
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感想 : 59
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「美のための美の運動」を掲げ、「パンの会」に集う若き、詩人、画家たち。
明治末期の両国橋のたもとに立つ西洋料理店「第一やまと」に集う彼ら。
「スバル」の創刊、与謝野夫妻、印象派についてと語り合い、酒が回るうちに「事件」の話題になり。

医学と詩の間で悶々とする木下杢太郎が発起した「パンの会」は参加者を変えつつ、「事件」を解決してゆく。
残念ながら、事件自体にはあまり魅力が感じられないけれど(あっさり解決しすきるからかも?)、杢太郎が抱えるものが静かに膨れ上がっていくようで、じっとりと重い。
でも、読後に若い彼らの一頁を一緒に体験した気持ちになっているので、悲壮感は感じない。
最後のお話はちょっと壮大過ぎな気もするけど。
「黒後家蜘蛛の会」形式の本はあとがき、注意書きがいらないよなーと思うものが多かったけど、今回は史実を丁寧に追ってるので、とても勉強になった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年9月22日
読了日 : 2023年9月20日
本棚登録日 : 2023年9月20日

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