花野に眠る (秋葉図書館の四季)

著者 :
  • 東京創元社 (2014年11月28日発売)
3.48
  • (12)
  • (57)
  • (63)
  • (7)
  • (3)
本棚登録 : 354
感想 : 76
3

筑波嶺のさ百合の花の夜床にも愛しけ妹ぞ昼もかなしけ

道の辺の草深百合の花笑みに笑まししからに妻と言ふべしや

ゴールデンウィークに父親の実家に預けられた中学1年の佐由留。
文子が保育園のブックトークで出会った吉井家の嫁姑と保育園児リョウくん。
常連の美雪さんとその娘の優子さん。
そして地主の秋葉夫妻。

地元の銘菓「百合落雁」をめぐる謎。
秋葉家の地所から発見された白骨の謎。
佐由留くんの悩み、リョウくんのせつなさ、美雪さんの想い、咲子さんの焦燥。
秋葉のおじさんの初恋、それがちょっと妬ける奥さん。
れんげの花畑を眺める秋葉市立秋葉図書館でお話が交差して、やがて大きな物語になる。
いろいろ盛り込んでいて、しかも前作を読まないとスッキリしない仕立て。前作で終わっていてもよかったかな。
それでも、ポイントポイントで登場する本の内容にドキリとして、本の素晴らしさを改めて思う。
タイトルも好き。

「ぼくね、中学校に入って、数学で、マイナスの数って習ったんだよ。大きな数も、マイナス一をかけた途端に大きなマイナスの数になってしまう。大きな数であればあるほど、マイナスかけても大きい。それを教わってね、ああ、嘘をつかれること、隠し事をされることもこれと同じだと思った。」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:
感想投稿日 : 2015年10月20日
読了日 : 2015年10月20日
本棚登録日 : 2015年10月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする