東京音頭が響き、和装とモガが行きかう。
夜店が連なる銀座の片隅で似顔絵を商売にする少年、那珂一兵。
帝国新報の依頼で名古屋平和博覧会の取材に駆り出された一兵は、記者の瑠璃子と一緒に超特急燕号で名古屋へ。
銀座の怪しげな料亭で密会する、軍人の甘粕と寺中。
世界をまたにかける富豪の宗像伯爵、その侍従の操。
満州の要人、崔氏、崔氏夫人、崔氏の愛人。
第2次大戦が迫る日本で、さまざまな思惑が絡む中、事件が起こる。
雑踏の銀座、博覧会の透明人間に魚雷実演、変装上手な宗像伯爵、紅顔の美少年、操。あちこちに散りばめられた江戸川乱歩の世界。
パノラマ島のような慈王羅馬館。気球から滴る血。纏足の婦人。支那服の美女。
そして、ラストに打ち上がる花火と犯人と。
トリックはともかく、犯人や思惑は早々にわかってしまうんだけど、乱歩の世界観でありながら、忘れてはいけない戦争の悲惨さがくっきり描かれる。
印象深い物語。
黄金仮面じゃないけど、犯人が実は…って言うのがあって欲しい気も。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
楽
- 感想投稿日 : 2021年2月24日
- 読了日 : 2021年2月24日
- 本棚登録日 : 2021年2月20日
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