クリーピー (光文社文庫)

著者 :
  • 光文社 (2014年3月20日発売)
3.24
  • (2)
  • (14)
  • (18)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 138
感想 : 17
4

天才的な悪とされる男が父親になりすまして一家をのっとる話。
クリミナルマインドや現実でもこういう事件あったな……とデジャビュ。話は面白く、終盤のどんでん返しは読めなくて驚かされたのだが、真犯人と直接対決の爽快感や、派手なアクションを期待すると拍子抜け。
主人公は犯罪心理学を研究する四十代既婚者(登場時)の大学教授なのだが、「ただの子供虐待」や女学生との個人的な付き合いなど、どうかと思う言動がちらほらあってモヤる。その後に少女を助けようと奔走してるので中和されるし、総体的に人格者なのは間違いないのだが……

個人的に不満な点を挙げれば、犯人がどうやってなりかわったかは詳細に書かれているが、何故なりかわったのかの動機がおざなりな点。特殊性癖の一言で片付けられるんだろうが、結局なにがしたかったの?少女を手に入れたかったの?だったらそんな面倒でリスクが高いことしなくても他にいくらでも手があるんじゃ……??と疑問。
しかも最初はターゲットの合宿日を調べてなかったせいで失敗、目的を遂げられずじまいで、悪の天才にしちゃ随分と詰めが甘い。
ラストもあっけなかったので、周囲がそこまで言うほど天才に思えなくなってしまった。
どちらかというと終盤に明らかになる共犯の秘めたる情念が怖い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年8月21日
読了日 : 2019年8月21日
本棚登録日 : 2019年8月21日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする