真田幸村: 家康が怖れた男の生涯 (PHP文庫 サ 9-4)

著者 :
  • PHP研究所 (1992年2月1日発売)
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本棚登録 : 165
感想 : 19
3

初登場時、幸村は十九歳。
才覚、言動ともに、理想的な姿でした。素晴らしい智将ぶり。
佐助は、いずれ兄上と結婚する、「ねい」の手の者という設定。
残念ながら、ふたりの間には「これは」と思うような会話も、エピソードもなく^^

というわけで、この話では、幸村の生涯を追うのが目的になるわけですが、ああもう、知ってはいても、幸村の軍略が馬鹿どもの手によって退けられるたび、イライラしてきつい><
幸村の視点で話を読むと、徳川家がまことに腹立たしく、本当に嫌いになっちゃう(笑)。

さて、この本、前半は細かく様々なエピソードを織り交ぜ、幸村の生活というものがよくわかりますが、後半、特に父上が没したあたりから、どうも駆け足すぎて何が何やらという状態。
徳川方の事情も密に書いてあるから、そちらに頁が割かれてそうなるのだと思いますが、夏・冬ともに、大坂の陣の扱いがひどすぎるような……。
幸村討ち死にの場面も、もうひと工夫欲しかったと思います。

石田三成に関しては、幸村との出会いのシーンでは、相当の切れ者のように登場していますが、というか実際そうだったんでしょうけど、話の中での扱いはどうもいまいちに感じられます。
むしろ、失態に近いところばかりがえがかれていた気がしました。
味方に嫌われてたとか……(笑)。

真田十勇士も、これといった特徴もなく、名前だけ出てきていたというか、設定は面白いものがありますが、キャラが立つ前に話が終わってしまいました。
ちょっと記号的な扱いでしたね。

まあ、一冊で幸村の生涯、十勇士、両方をえがき出すのは難しいのでしょう。
改めて感じたことは、「幸村の物語を読むのは、冬の陣以降は、こころの健康によくない」ということでした^^

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年10月10日
読了日 : 2009年10月10日
本棚登録日 : 2009年10月10日

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