2001年宇宙の旅 (ハヤカワ文庫 SF ク 1-19)

  • 早川書房 (1993年2月1日発売)
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本棚登録 : 2453
感想 : 186
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昔、映画を観て内容よくわからなかった…となっていた作品。読んでみるとこれまで自分が触れてきた小説やゲームなどの作品のなかに2001年の影響があるなと感じられたのは面白かったし、内容について自分なりにこうなんかあぁなんかと考えることができたので良かった!

個人的に印象深いのがTMA•1が〈月を見るもの〉に最初に与えた豊かな暮らしへの羨望という所だった。道具を使う知性とかがヒトザルを人へと押し進めたものっていうのはなんとなく想像しやすかったけど、意志や心といった精神性はこれまで見過ごしてきたなと感じた。道具を用いるのにもそこに至る動機がなければ何も得られない。明確な目的を持ってはじめて道具に用途が産まれる。人間性と道具やテクノロジーの関係性について思わず考えてしまいました。
今やスマホやパソコンといったインターネットの恩恵をただ享受するのではなくそこになぜそれが必要なのかを問う感情が必要なんじゃないかと、稲田さんの『映画を早送りで観る人たち』を読んだあとだからか考えてしまう。
p94でiPadみたいな機器を使っているときのフロイドの独白「無限に移り変わる情報の流れをニュース衛生から吸収しているだけで、一生が過ぎてしまうだろう」も何やら響いてくる。
道具に使われるのではなく、道具を使う側に回る。ハルとの戦いのシーンはハルのもつ目的意識を人であるボーマンが奪い返すことで人間性の再帰をはかるシーンに自分は思えた。
解説や他の人の感想を見ていろいろな考え方ができる可能性を秘めていてこの本はさながらTMA•2みたいだなと思って少しニヤニヤしました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年11月12日
読了日 : 2023年11月11日
本棚登録日 : 2023年11月11日

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