絞め殺しの樹

著者 :
  • 小学館 (2021年12月1日発売)
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本棚登録 : 891
感想 : 111
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北海道の歴史には、この様な辛い話がいくつも語り継がれている。北海道開拓の大きな目的は国力増強、食糧増産、そして士族への授産だったのだろうなと思う。士族ばかりでなく内地では食べていけない人達も希望と夢を抱き移住したに違いない。
しかしこの政策には当然闇の歴史もある。
このお話を読んでいると《貧すれば鈍する》と言おうか貧しさは人の心をも貧しくさせるのかと思ってしまった。雄介さんが家庭教師先のお母さんを見《金で担保出来る心の豊かさや優しさというものもある》と感じ自分の置かれた境遇にはない世界を知る。
それにしてもミサエさんの一生は壮絶と言うしかない。《絞め殺しの樹》というタイトルに禍禍しさを感じ読み始めたが、どんな境遇にも負けず生き抜いたミサエさん、そして卒業後は故郷に帰り酪農家の後継者として生きようと決めた雄介さん。
切ないお話だったけれど希望を感じさせてくれた。





読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年12月18日
読了日 : 2023年12月18日
本棚登録日 : 2023年12月18日

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