最近ではミステリの分野にもその活躍の場を拡げ、駄作を書かないSF作家山田正紀。その類いまれなデビュー作。
人間には理解しえない言語体系のなかに存在している”神”。その”神”が世を支配し、自らの存在に近づこうとするものを排除している。その存在に気づいた主人公が、”神”の正体を暴こうと細い糸をたぐり寄せていくが、彼に手を貸そうとした仲間たちが次々と倒れていく。
物語はあと一歩。神の正体の一歩手前で寸止めになる。それゆえに、読者に想像の快楽を残すという、寸止めの美学を見せている。短いながら、重厚で、思弁、哲学的な深みを感じる作品。これがデビュー作とは信じられない。続編『神狩り2 リッパー』が上梓されたが、こちらは賛否両論を呼んでいる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2011年2月3日
- 読了日 : 2011年1月25日
- 本棚登録日 : 2011年1月25日
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