はじめての言語学 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2004年1月21日発売)
3.69
  • (56)
  • (103)
  • (99)
  • (11)
  • (7)
本棚登録 : 1087
感想 : 108
4

 言語学というよくわからない学問をできるだけ分かりやすく書いた本である。日本語なり英語なりの学問と言えば語学としてはなじみがあってイメージしやすい。ところが言語学となると果たして何を扱う学問であるのかが分かりにくい。何を目的としてどのようなことを行う学問なのかのイメージが湧かないのである。
 本書ではソシュールやチョムスキーといった言語学の大家の論をさりげなく紹介し、それがどのように言語学の世界で使われているのかを具体例に沿って述べている。私は他の本でいきなりこれらの言説に触れて面食らったことがあるが、はじめにこちらを読むべきであった。
 言語学にまつわる誤解に触れた章もおもしろい。たとえば言語に美醜はないとか、言葉の乱れや方言に関する世間の考え方と言語学上の判断とは別のものであることなどは興味深い指摘である。
 大学の先生の話を研究室でうかがうような気楽な文体は「はじめての」学習者には優しい。学生時代に戻りたくなるような気持ちになった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2015年2月25日
読了日 : 2015年2月25日
本棚登録日 : 2015年2月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする