いやいやながら医者にされ (岩波文庫 赤 512-5)

  • 岩波書店 (1962年1月16日発売)
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本棚登録 : 136
感想 : 18

◆木こりが妻のたくらみから始まって名医に”仕立て上げられてゆく”さまを楽しむお話。「お笑い」的な、相手の発言にひねくれた解釈を加えるやりとりの面白さに加えて、その専門性を悪用する医者への風刺、その権威を信じる一般大衆の滑稽さが、なんとも面白いのです。ぼくは、読みながら終始ニヤニヤしていました。

◆はたして、”いやいやながら医者にされ”た木こりを「名医」に仕立て上げたのは誰でしょうか。それは本書に登場するすべての人たちではないかと思います。片方には、木こりの妻や、いやいやながら医者となった木こりのように適当なことをいう人間がいて、もう片方にはそれを信じ込む人がいる。なんとも滑稽な、社会の縮図です。初演は1666年とのこと。時代を超えた笑いのセンスには驚くばかりです。

◆ただし現代だと、唖(おし、発話障害)をネタにすることはタブーなのでしょうね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年5月17日
読了日 : 2014年5月16日
本棚登録日 : 2014年5月1日

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