覗きを咎められた18歳の少年は母親を金属バットで殴り殺した。盗んだ自転車のカゴのなかにあった携帯電話を使い、同い年の女子高生たちとつながる少年。
それぞれに悩みを持って生活していた女子高生たちは親殺しの少年に大いに興味を持つ。
電話で話して自分と重ねてみたり、逃亡用の自転車と携帯電話を買い与えてみたり、会いに行ってみて同調した挙句、一緒にタクシー強盗を行って死んでしまったり、嫌悪感を抱いて通報したあと飛び降り自殺したりする。
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「岡山金属バット母親殺害事件」を元に書かれた作品とのことだったので期待して読んだ。けれども母親を殺した少年の心理描写は少なくて、少年に影響を受ける四人の女子高生の視点がメインだったので勝手にガッカリしてしまった。
”進学校の落ちこぼれの自分には女子との接点なんか今まで全然なかったけど、親を殺して逃げてることで女の子たちから興味を持ってもらえてラッキーっす!”みたいな少年の思考も理解しがたかった。なんなんだお前は。
あの娘ぼくが母親を殺して逃げたらどんな顔するだろう、とでも言いたかったのか。
もっと悩んで苦しむべきだろう。その苦悩っぷりを堪能したかったんだよ。
畳みかけるように登場人物たちが皆「自分のせいで……」と言い出す終盤は、全員思考回路どうかしてるなっていう感じだった。勝手に負い目を感じて、何かを悟ったような気分に酔っている彼女たちが哀れだった。
自分には彼女たちの言うリアルワールドは理解できない。何かを悟ったような気になったりもしたくない。
今日もご飯を食べて寝る。リアルフードを食べる。
- 感想投稿日 : 2020年5月14日
- 読了日 : 2020年5月14日
- 本棚登録日 : 2020年5月14日
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