高校教師の男が自身の半生を振り返る。
若い女性の血を飲みたいという性的欲求を満たすために、何人もの自殺志願者の女性を殺し、とうとう理解者を見つけたが、自宅から死体が見つかって逮捕されるまでの手記。
---------------------------------------
2005年の大阪で起きた『自殺サイト殺人事件』をモデルにした話だと思う。
その事件の犯人は特殊な性癖を持っていた。”白いソックスを履いた人がもがき苦しむ様子に興奮する”という性的倒錯。自殺志願者を殺すことで欲求を満たしていたらしい。
女の血を飲むために自殺サイトで自殺志願者を探していたサイモンも彼と同じだ。
欲求を満たす行動をすると犯罪になってしまうような、特殊な性癖を持った人は本当に生きていくのがつらいだろうな。
すごく難しい問題だと思う。
『自殺サイト殺人事件』の犯人は死刑になっている。
サイモンはどうなるだろう。死んでいく女性たちが残したビデオメッセージを見たら、彼の罪は自殺ほう助になるだろう。もちろん、罪は罪。しかし、殺人といえるのかどうかの判断は自分には難しい。
何年も前からずっと考えているのは、性欲に支配される人生は切ない、ということだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
岩井俊二
- 感想投稿日 : 2020年7月13日
- 読了日 : 2020年7月12日
- 本棚登録日 : 2020年7月12日
みんなの感想をみる