マイ・バック・ページ - ある60年代の物語

著者 :
  • 平凡社 (2010年11月26日発売)
3.91
  • (26)
  • (52)
  • (26)
  • (5)
  • (0)
本棚登録 : 321
感想 : 61
5

先日、小学校のときの友人と再会してお酒を飲んだ。話題は学生運動になった。
戦争につながるのでは?と不安になるような法案が国会で争点になっている。市民グループや学生のグループがデモを行っている。彼らをいまから40年くらい前の学生たちと重ねたのだ。
戦うものがあって羨ましい。自分の意見を主張する場所があって、いまの学生よりも政治のことを考えている。1970年ごろには精子にも卵にもなっていなかった自分たちが当時の学生を褒めるのは滑稽な姿であったと思うが、お酒の力は偉大だった。自分が学生運動が盛んであった頃に生きていたなら参加したかった、とまで思うほどであった。

前置きが長くなったが、この本は朝日新聞社に入社した川本氏が学生運動の新たなリーダーになりそうな男に出会い、殺人を犯した彼をジャーナリズム精神でかばってしまい、逮捕されるまでの話だ。
寝苦しい真夏の夜のような、戦後からの復興を遂げて熱量が溢れかえる、とにかく熱い時代だったんだなと感じた。
就職して社会人になれば大人なのか。大学生たちは青臭い子どもなのか。自分の思想を確立した人間こそが大人と呼ばれるべきではないのか。揺さぶられる自尊心。
そういった青臭い熱さがあったからこそ、つけ込まれたのだろう。結局は逮捕されて川本は自供するが、そこでやっと真夏の熱帯夜が終わったように思えた。

自分はこの時代に生きていたらここまで熱くなれただろうか。ヒッピーくずれのようになってそうだなと思う。
こういう熱い時代があったことを忘れてはならない。

My Back Pages
https://www.youtube.com/watch?v=ML97CDYUYVc

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他
感想投稿日 : 2015年7月29日
読了日 : 2015年7月8日
本棚登録日 : 2015年7月8日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする