アメリカは本当に「貧困大国」なのか?

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  • CCCメディアハウス (2010年7月9日発売)
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堤未果『ルポ貧困大国アメリカ』は、著者も指摘するように、結論ありきで部分的に見える記述が目立ち、自分の立論に都合のよいところだけを切り取っているのではという疑念を禁じえず、Ⅱは読む気になれなかった。
冒頭では、著者は、ブッシュ政権時代はともかく、オバマ政権になってからのⅡでも同じ論調はいかがなものか、という視点に立っているようだったので、Ⅱ読んでなくてよいのかしらん?と思ったが、あまり関係なかった。というか、なんと、この本は「貧困大国」説への批判本ではなく、オバマ擁護と、著者が「草の根保守」と呼ぶ共和党シンパのうち反エリートな人々(いわゆるプア・ホワイトのイメージ…)への嫌悪が書かれた本だった…(後者は、2010年前半という執筆当時、オバマへの脅威とみなされていたからかもしれない…)
といっても、2010年前半と、オバマの大統領就任後1年余という時期に書かれているため、まだ評価できるほど実績あがっているわけではないから、オバマの言説を評価するみたいになっていて、そりゃオバマは優れた弁論家だわ(中身に全然賛同できなくても感動しちゃいそうw)、でも言うだけだったら苦労しないわ(いや、よさげな「言う」ことすらできない我が国の政治家を思うと、しゃべるだけでもスゴイのかも!?)、と思ってしまうわ。

でも、要するに、アメリカに格差や貧困が蔓延しているとしても、なんか前向きで楽天的なようなのは、社会の流動性と、制度・構造的に機会平等で再チャレンジ可能な国だから、というキモ(たぶん)は理解できたわ。

あと、知らなかったことや気づかなかったことを学ぶこともできた。
サブプライムローンで住宅を買った人々、返済不能になると返済義務もまぬかれるなんて、だったら、一時期でも豪邸に住めてラッキーってだけじゃん、銀行は不幸だけど…(融資するのに借主の所得も職業も審査してはいけないなんて、アメリカの銀行って大変ねえ…) とか、
アメリカにおいては、自動車のエコとか燃費とか小回りとかは何の価値でもない(一部都会を除く)、とか。確かにあんな人口密度が低いところ、多少燃費が悪くて有害ガス多めに排気しても、それが自然にそんな悪影響及ぼすとは思えないだろうし、馬力と強度がないと生命にかかわるもんね(しかし、(著者も住む)北東部は大雪や凍結あるから仕方なくて中西部とは事情が違うみたいに書いているが、中西部だって冬場はすごいだろーによ)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会(アメリカ)
感想投稿日 : 2012年9月9日
読了日 : 2012年9月9日
本棚登録日 : 2012年9月9日

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