東大の日本近現代史の先生が、中学・高校生に日清戦争~太平洋戦争までの近代の日本の戦争について講義し、それを纏めた本。
学生さん達は、栄光学園の歴史研究部のメンバーが中心なので、たぶん私より日本史詳しいな。。とはいえ、講義形式で書かれていることで非常に読みやすくなっています。
まずはタイトルが凄い。
著者も言っているように、日本の戦争については書店に刺激的なタイトルの本が並んでいます。大抵が「日本は悪くない」と言っていて、個人的にも「軍部主導の戦争」「日本はやむなく戦争に巻き込まれた」という感覚が少しあったのですが、そこにぶつけてくるようなこのタイトル。歴史学者の本気を見たような思いです。
読み進めるにあたって個人的に気をつけていたのが、「今後、日本人は戦争を選ばずにいられるのか」ということ。単に「戦争反対」と叫ぶのではなく、過去に「それでも」戦争を「選んだ」リアリティを知った上で、それでも不戦を選び続けられるのか。
感じたことは、妙に守りの薄い意思決定ができてる箇所(レバレッジ・ポイントのような…)があって、そこで決定的な選択がなされると、たとえ日露戦争のように国民感情が後ろ向きだったとしても、戦争に突き進んでしまうということ。国際連盟脱退も、別に脱退一辺倒だった訳じゃなかったんですね。
それでも太平洋戦争直前は、戦争に向けた選択が積み重なったり、他国の思惑も重なったりと非常に暗澹たる気持ちになります。
(ABCD包囲網の話は、中学受験でも扱うくらいなので、敢えて触れなかったものと推察)
日本人に戦争を「選んだ」自覚があんまりない理由も、最後にちょっと触れられていました。
良著です。
- 感想投稿日 : 2016年7月27日
- 読了日 : 2016年7月31日
- 本棚登録日 : 2016年7月22日
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