美術家会田誠による初期作品『犬』の解説。描かれた当時の美術業界事情、西洋美術における裸体画の意味などにも触れながら制作意図が説明されている。
SNSで『犬』に向けてある特定の批判が繰り返し投稿されるらしい。「『犬』は永井豪が『バイオレンス・ジャック』で描いた人犬のパクリである」。この批判に、『犬』制作時には『バイオレンス・ジャック』を読んではいなかった。また、女性の四肢の切断には漢の戚夫人や80年代に流布した都市伝説の例もあり一般的なものであると、批判に応えている。
正直に言うと、もやもやしたものが残った。ネットのひとがなぜ『犬』を批判するかへの考察が間違えているではないか。『犬』への批判は、アニメや漫画のイメージを現代美術に持ち込んで成功した村上隆への批判と同種のもの、あるいは「のまネコ」騒動にもつながる、「嫌儲」と呼ばれる感情に近いのではないか。別この言葉でいうと「金の匂い」が感じられるからではないか、と思う。
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- 感想投稿日 : 2023年8月19日
- 読了日 : 2023年8月19日
- 本棚登録日 : 2023年8月18日
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