南アルプス山岳救助隊K-9 逃亡山脈 (徳間文庫)

著者 :
  • 徳間書店 (2019年5月14日発売)
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感想 : 13
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やはり、樋口明雄氏の書く本は面白い。
冒頭から切れ目なく続く連続した緊迫感と繰り出されるアクション。
そして、静かで切なく、自然の中で、きっちりと方をつけるエンディング。
天空の犬シリーズの読者には堪らないし、天空の犬シリーズを知らない人にもお勧めできる一冊。

冒頭出てくるのは、いつもの星野夏美と神崎静奈。
天空の犬シリーズの始まりかな?と誤認するのだが、すぐに彼女たちは山を下りる。
その後、夏美は姿を消し、美しき武闘家神崎静奈巡査の戦いが始まる。
樋口氏の書く物語の背景は、いつもとてもリアル。
日本の国という組織、政治、そして警察という組織に存在する悪。そのリアルに翻弄される現場警察官と元官僚。
像絶な戦いの後にやってくる山の景色と静寂。

天空の犬シリーズが始まった時に、神崎静奈巡査はここまで重要な役割を占めていたのだろうか?
いや、彼女はきっとシリーズの中で徐々にその姿を現していき、ついにメイと夏美のコンビ抜きの物語を成立させてしまったのだろう。
天空の犬シリーズがメイと夏美の物語であるとしたら、本作品は神崎静奈の物語だったと思う。
ごめん、バロン。君は活躍したけど、静奈さんの活躍がすごすぎる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年11月12日
読了日 : 2019年11月12日
本棚登録日 : 2019年11月12日

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