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読了:2019/8/21
すごーく想いのこもった本。イラストエッセイみたいな雑誌掲載のみのカットもよくぞこれほど…と思うほどの量が散りばめられている。当時好きだった人にはたまらないだろうなぁ。
しかし、バナナブレッドのプディングを読んだ時から感じた「私は大島弓子の世界には入っていけない」という感覚は変わらなかった。
どれほど解説されても、幸せなお嬢さんの幸せな悩みという感覚が消えなかった。あとはやはり「周りがなんとかしてくれる」という感覚が作品全体にも、そしてこの本を書いているひとたちの中にも漂っていると感じた。
たとえばp. 240「あのこ、あたしたちの子供なのよ。あのこの頭の中ではあたしたち両親なの。あたし、あのこを育てるつもりだわ」と言い、角松くんも「よし、パパになったる。なったるでーっ」とそれに同意する。何かにこだわり続けている人間に対し、周囲が、この子を育てる、と決意したとき呪縛は解ける。」なんの義理があってただの友人が同年代のメンヘラちゃんを庇護し育てなければならないのか。バナナブレッドでも同様の解決法だったが、その「なぜ」に対する答えは「主人公だから」しかない。大島弓子が好きな人はそれを「(どんなに平凡であってもこの世でただ一人の特別な)わたしだから」に変換して自分を救うのかも知れない。でも、私はすでに「“私だから”という理由で周囲が救ってくれることなんか起き得ない」と身を以って知ってしまっているので無理なんだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
コミック
- 感想投稿日 : 2019年8月21日
- 読了日 : 2019年8月21日
- 本棚登録日 : 2019年8月21日
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