方法序説 (岩波文庫 青 613-1)

  • 岩波書店 (1997年7月16日発売)
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感想 : 405
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真理の探究と、日々の生活と。

デカルトの『方法序説』って、こんなに薄いんだあ、これくらいなら私にも読めるかも。
そんな気持ちから、あるとき書店で、気軽に他の本と合わせ買いした本書。
いや……確かに薄いけど……、めっっちゃ、固い。
フランス語らしい構文で綴られる、抽象的な議論と自然学の考察の断片。
当時の主流な学問から距離を置き、自らの思想を打ち立てようとする試み。
もうちょっと、それ以前の学説に関する本を読んでから、手にとれば良かったと後悔しつつ、やっぱり薄さに助けられ(笑)、何とか読了。

個人的に面白かったのは、
「わたしが明証的に真であると認めるのでなければ、どんなことも真として受け入れない」
と宣言したデカルトが、その真理の探究の道のさなかで
「工事の期間中、居心地よく住める家をほかに都合しておかなければならない。」
として自分に定めていた道徳を語った第三部。
・極端からはもっとも遠い、いちばん穏健な意見に従って自分を導いていく
・自分の行動において、できるかぎり確固として果断である
・世界の秩序よりも自分の欲望を変える
などなど。

日常生活の中でも、結論が出ていないのに、時間的には何かしらの対処を迫られる問題って、たくさんありますよね。
苦手だけど全く無縁でいるわけにもいかない人との付き合いとか、持ち家か賃貸かとか、ちっちゃなことだと、キャッシュレス決済まだやってないけど導入しようかなあ、とか。
自分にとって納得のいく折り合いをつけたいけれど、まだ見つからない、でも現実的には何かしら対処していかなければならない、という時。
そうか、これからは、この道徳に頼らせてもらおう。

この本の主題からは脇道にそれた感想になりましたが、デカルトが掲げた近代精神の確立についても、引き続き少しずつ学んでいこうと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月8日
読了日 : 2021年12月8日
本棚登録日 : 2021年12月8日

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