絵画鑑定家 (ランダムハウス講談社 ス 2-2)

  • 武田ランダムハウスジャパン (2010年1月8日発売)
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感想 : 6
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 近年、評価が高まっているフェリックス・ヴァロットンの描いた絵画『暖炉の前の女』の贋作を巡る小説。犯罪小説かと思って読んだら、親子ほど年の離れた男女の恋愛ストーリーだった。

 由緒正しき資産家で、若い芸術家たちのパトロンでもある美術鑑定家が、ふとしたことから奔放な女性と出会い、彼女を思うあまり、知らず知らず犯罪に巻き込まれそうになる。
 熟年の恋と、贋作で一攫千金を狙う者たちの話がからみ合う。大きな事件も起きず、クライマックスのはずのオークションシーンも派手さはなく、ラストまで静かな余韻を残す。美術の愛好家のみが知る喜びに一瞬でも触れることができる作品。

※たまたま東京で開催されていた『ヴァロットン展』に行って画家に興味がわき、作中にヴァロットンの作品が登場すると知って読んでみた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学・評論
感想投稿日 : 2014年9月17日
読了日 : 2014年9月8日
本棚登録日 : 2014年9月17日

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