近年、評価が高まっているフェリックス・ヴァロットンの描いた絵画『暖炉の前の女』の贋作を巡る小説。犯罪小説かと思って読んだら、親子ほど年の離れた男女の恋愛ストーリーだった。
由緒正しき資産家で、若い芸術家たちのパトロンでもある美術鑑定家が、ふとしたことから奔放な女性と出会い、彼女を思うあまり、知らず知らず犯罪に巻き込まれそうになる。
熟年の恋と、贋作で一攫千金を狙う者たちの話がからみ合う。大きな事件も起きず、クライマックスのはずのオークションシーンも派手さはなく、ラストまで静かな余韻を残す。美術の愛好家のみが知る喜びに一瞬でも触れることができる作品。
※たまたま東京で開催されていた『ヴァロットン展』に行って画家に興味がわき、作中にヴァロットンの作品が登場すると知って読んでみた。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学・評論
- 感想投稿日 : 2014年9月17日
- 読了日 : 2014年9月8日
- 本棚登録日 : 2014年9月17日
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