良い映画には、その映画が持った独特の世界観がある。単なるストーリーテリングではなく、世界そのものに引き入れる雰囲気が…。この映画には間違いなくそういう世界観があって、それによって見事なまでに観客を魅了してしまう。取り立ててすごいことが起こるでもなく、なのに気がつけば、あっという間にエンディングになっている。
初めは違和感しか感じなかったハマダの人々も、いつの間にか、素敵で魅力的な人たちだと思ってしまうから不思議だ。その変わりようは主人公のタエコとまったく同じだろう。「無理…」と言っていた彼女が、気がつけば、誰よりもあの雰囲気に溶け込んでいたように。
映画を見た人はみんな思うはずだ。「ハマダに行きたい…」と。あの素敵な場所で、変わった人たちと時を過ごし、心ゆくまで黄昏たい。「究極の癒し映画」と言っても良いだろうが、それにしても、これだけの世界観を描ききった荻上監督はすごい。かもめ食堂もそうだったし、女性としての感性を天才的にまで研ぎ澄ましたかのよう…。男性監督ではこういう感性は絶対無理だろう。
(飯島奈美さんの料理も健在!)
見る人を選ぶ映画だと思うが、合う人には本当に素晴らしい映画。
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- 感想投稿日 : 2011年11月3日
- 読了日 : 2011年11月3日
- 本棚登録日 : 2011年11月3日
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