鳥少年 (創元推理文庫)

著者 :
  • 東京創元社 (2013年10月23日発売)
3.49
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本棚登録 : 543
感想 : 44

狂おしいほどの情念と欲望と罪悪渦巻く、脅威の短編集。
「火焔樹の下で」何を言ってもネタバレになるのだけれど、こんなにも残酷で恐ろしい恋物語があっていいのでしょうか…。
「卵」男と男。男の嫉妬はかくも醜く、後悔も外聞もありはしない。
「血浴び」生まれてから死ぬまで、私たちは皆。
「指」化粧をする指先と、それを施される顔は命の有無など関係なく美しく、そして冷たい。
「黒蝶」嫉妬と愛欲に絡む情念は、男と男であっても変わりなどしない。
「密室遊戯」本当にのぞかれているのは、その心は、その傷口は。
「坩堝」一昔前の皆川先生の短編っぽいあるある…って雰囲気。さばさばしてそうに見えた女が一番陰湿なんだよ、みたいな。
「サイレント・ナイト」子どもたちの目に映るのは、辛い真実か、恐ろしいまぼろしか、それとも。
「魔女」皆川先生はいう、美しい男はただそこにいるだけで周囲を狂わせると。
「緑金譜」姉の執着し続けた老人の計画的犯行。
「滝姫」姉に執着し続けて壊れた男。弟二連発。どう足掻いても地獄って感じがめちゃ好き。
「ゆびきり」いとしい男のためなら何もかも背負うのが皆川作品の”女”の真骨頂。
表題作は、いつ自分がそちら側に行ってしまうのか分からない系ホラー。ゾゾゾと終わるのが流石の一言。

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感想投稿日 : 2021年1月5日
本棚登録日 : 2020年12月27日

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