日本建築遺産12選―語りなおし日本建築史 (とんぼの本)
(和書)2013年09月16日 15:28
磯崎 新 新潮社 2011年6月
入門編とあります。シンプルに建築とは何かを問い答えている。いい本でした。
建築家とか批評家とかある。僕が磯崎新さんを知ったのは批評空間という雑誌でした。僕には小難しくて批評空間に書いている柄谷行人以外のメンバーには否定的に見ていました。磯崎新さんにも否定的でした。
僕がどうして柄谷行人を評価したのかは簡単に言うと格差の解消としての平等の哲学があるからです。
平等とはシンプルに言うと天皇の下の同格とか被差別者の上の同格とかそれによる対等な関係とかそういった平等に僕は不満を覚えていました。だってそれは格差を前提にしているではないですか!もし格上、格下、中間層という階級社会があるのなら格差の解消をこそ中間層であるわけで階級社会の揚棄が哲学だと思っています。そういった格差の解消としての哲学は社会主義の理想と言われるものです。
批評家とは格付けを行う人達です。あれがいいとかこれがだめだとかそういって批評家は格差を付ける。では建築家はどうなのだろうか?空間に秩序をつける芸術として建物を創造します。それにはその建築家の批評も重要ですがそこに格差を解消するような哲学を考えることがもっとも重要だと思います。
建築家の至上命令が格差の解消ならそこに哲学があるということです。一流の哲学がそういった格差の解消としての平等の哲学ならそれを考え建築を創造する建築家は一流の建築家であると思います。
磯崎新さんはそういった哲学をもった建築家であると思います。
僕は柄谷行人以外の批評空間のメンバーに否定的でしたがそれも僕の考えが浅かったのだと思います。柄谷行人とそれ以外に格差を付けてよく考えもしていなかった。ただそういった哲学を見出すことも難しいとも思いますから自分の未熟さであり僕はもっとそういった哲学を徹底していけばいいのだと思います。
格差の解消としての哲学と芸術を考えることは興味深くそういった思考に僕はまったくストレスを感じません。これが人間の自然状態(ジャン=ジャック・ルソー)なのだろう。だからストレスが無いのだと思います。
僕が建築を創造するならそういった哲学と芸術を考えて行きたいと思います。
- 感想投稿日 : 2020年9月27日
- 読了日 : 2013年9月16日
- 本棚登録日 : 2020年9月27日
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