タイトルが「今川義元と太原雪斎」ではなくその逆となっているが、それは基本的に雪斎視点での書き方になっているという点に表れている。
やはり、三国同盟の締結(それに至る武田、北条との立ちまわり)や、今川氏の商業振興のきっかけを作った点等、太原雪斎の大局的な視点を高く評価していていることが強いと思う。
ただ、今川義元に対しても公平な評価が下されており、今川仮名目録の追加を独力で行った点を評価している。
雪斎と勘助が元々知り合いで書状でやり取りしていたこと、武田や北条が雪斎を評価していたこと、桶狭間でやられる直前に義元が良真の亡霊を見たこと、桶狭間が奇襲ではなく信長の謀略であったこと等、どれが定説でどれが著者の推測なのかわかりかねることはあったが、話の流れとしては読みやすかったので、それはそれで良いと思う。
この本を読んだ上での読後感としては、やはり義元が信長にやられたのは時代の流れだったのかなーという点だ。足利、吉良、それらに次いで今川が将軍家の候補だという発想、そういった古い考え方を持った、古い考えの下での優秀な大名であったがゆえに、新しい考えを持った信長にあっさりやられてしまったのかな、と。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2011年7月31日
- 読了日 : 2011年7月31日
- 本棚登録日 : 2011年5月15日
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