バンヴァードの阿房宮: 世界を変えなかった十三人

  • 白水社 (2014年8月26日発売)
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感想 : 17
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 サブタイトルの通り、この本に出てくる13人は、今の時代から見ると「世界を変えなかった13人」である。13! キリスト教圏で言うところの不吉な数字の彼らは、だいたいの場合「えっ何言ってるの、バカなのあなたたち」と言いたくなるようなことを大言壮語している人である。
 なんだろうなぁ。地動説だったりフロギストンだったり錬金術だったりエーテル的な。

 最初は、このネタで13人読むのは辛い、と思っていたのだけれど、読み進むうちに感じるのは「あれ? でも私がいま正しいと思っていることは、後世にどれだけ正しいとされるのだろうか」と言うこと。
 それくらい、彼らは当時の人々に熱狂的に受け入れられている。

 解説でSTAP細胞について触れられていたが、私はむしろベストセラー作家を思い浮かべた。誰もが「新しい、革新的だ」ともてはやし、買い求め、しかしながら、1年も過ぎる頃にはブックオフの100円コーナーですら売られない。10年過ぎる頃にその作家を読んでいると言えば「え? あの○○の?(失笑)」と言われる始末。
 世の中の流行り廃りや正しさっていうのに、絶対はないなぁと感じたいしだいです。

 私が一番惹かれたのは、一生涯ニセモノの台湾人として生きた「ジョージ・サルマナザール」がどうしようもなく魅力的である。本名が分からないと言うところがまた、ミステリ的にはたまらない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 教養
感想投稿日 : 2015年1月10日
読了日 : 2015年1月10日
本棚登録日 : 2015年1月10日

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