我が愛する詩人の伝記 (講談社文芸文庫)

著者 :
  • 講談社 (2016年8月11日発売)
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本棚登録 : 128
感想 : 6

言いたいことを言うというのは誰しも切なる願いであるし、そうあるべきだしそうしていいはずなのに。
年明けから進撃の巨人にはまり、小説を読むと頭が混乱しそうなので自分の本棚からエッセイを探したら出てきたので読みました。

もともと室生犀星の杏っ子がほしくて本屋の講談社文庫の棚を探していたらこれしかなく、これも何かの縁かと思い買ったものでした。次本屋に来た時は忘れているかもしれないし、今買わないと買わない。カレルチャペックの園芸家の12ヶ月みたいに。
で、次こそは空いた隙間に杏っ子、もしくは犀星の他の本が入荷されるかもとわくわくして出かけたのに同じく我が愛する詩人の伝記が入荷されていてがっかりした記憶があります。
気に入っていた本屋だったのに、この人たちは本が好きで興味があって売っているのではなく、ビジネスになるから、こういった品揃えであればセンス良く見えるというリストを先に作ってそれをなぞっているだけなのだ。
Three Livesは違う。サリンジャーの新装版を真っ先に置いてくれたから。

とはいえ読んでみれば、途中でいつでもやめられるエッセイ、というより物語集とでもいうような、ストーリーも表現も工夫してあって、なんだったら一番気に入った堀辰雄の文章が読みたくなるような(風立ちぬ、いざ生きなんしか読んでないので) そんな一冊でした。

愛するとは相手に生きていてほしいと願うこと。だから愛する詩人の伝記、なのですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年3月13日
読了日 : 2022年3月13日
本棚登録日 : 2022年3月13日

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