抱擁、あるいはライスには塩を 下 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2014年1月17日発売)
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感想 : 127

前巻とうってかわって静かな幸福、そして迫り来る変化と終わりに切なくなる後半でした。
特に2000年夏以降の3話、海外に暮らす安心感に共感。ここは遠いから海の向こうのことは現実味がなくて、向き合うには怖すぎる本質から逃げられる。陸子が本の世界に逃げるように。望が日本に帰る飛行機に乗るときの気持ち、あるあるって思った。
そして絹さんが愛しそうに呼ぶ、あの人。あの人がいたからこの女性がたくましく生きぬき、この幸福な家族の物語ができたのですね。なんでもできるって思わせてくれる人っているよなあ、って思うのは女だけでしょうか。
1話ごとに誰が語り手なんだろう、ってわくわくしながら読めて、どの人も共感できる部分、愛しいと思えるところがあって、こんな長編も素敵だと思えました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年7月30日
読了日 : 2018年3月10日
本棚登録日 : 2017年11月11日

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