大江戸怪奇譚 ひとつ灯せ (文春文庫 う 11-11)

著者 :
  • 文藝春秋 (2010年1月8日発売)
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本棚登録 : 256
感想 : 23
3

"時代小説を書く現代作家"を挙げ始めると、遅からず名前が出てくるであろう作家が、宇江佐さんである。
そうと知っているくせに今まで読んだこともなかったので、この機会にと思い、本作を手に取ってみた。

話は、主人公の清兵衛が自身の死に対する恐怖を自覚するところから始まり、多くの奇妙な事件と関わり合いながら、その認識を改めていくというもの。

文章が非常に軽く、さくさくと読み進められる。
言葉による表現よりも登場人物の心理描写を優先して素直に書いているためだと思われるが、それ故に「物足りない」と感じる部分も多い。
ただ、その軽快なリズムのままに、あの最終話を書き切ってしまえる力は、さすが。
文章と内容における重さのズレのようなものが、本書そのものの「怪奇さ」を生み出しているのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年8月20日
読了日 : 2011年8月27日
本棚登録日 : 2011年8月19日

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