これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

  • 早川書房 (2010年5月22日発売)
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読み終わるのに3ヶ月くらいの時間を要した。
年越す前に読み終わりたかったけど、年越しちゃった…

どうだろう。読み終わったあとの感触としては。
正義って…とふんわりとした違和感のようなものが残ってる感じ?なのだろうか。

絶対に読み返さなくてはいけない。分かっているのはそれだけな気がする。難解で、情報量が膨大な為に、時間はかかるし、理解もできない。けど、今の自分の力量で感じたことを、下に書いていこうと思う。

人はみんな、自分の中に正義がある。その正義は本当に千差万別で、そして似通った正義同士が固まっていく。そして、違った正義とぶつかり合っていく。
その手段は時代によって違うけど、最近はその正義自体が曖昧な人が増えたんじゃないかと、本書を読んで思った。

人を傷つける事は悪いこと。分かっていながら、見知らぬ人をこき下ろす。
違法サイトで漫画を読む。就職活動や受験活動を代行してもらう。転売のために商品を買い占める。
他にも諸々。

よく、「その人にはその人なりの正義があったんだよ」という言葉があるけど、多分上の行動には正義は無い。かくいう僕だって、よく分からない芸能人の事を、知人や友人と一緒に食事の場でバカにする。漫画村で漫画を読んだこともある。大学のレポートで、友達のをほぼパクったこともある。

正義のない行動だ。それらの行動を行う時に、僕の心の中は何も考えていなかった。正義を、その先にいる他者の存在を。

正義って、難しい。こうやって書いてる時も、何が何だかわかんなくなる。そもそも僕が持ってる正義が、これで正しいのか分からない。だけど、確固たる正義を持たないといけないと、そう思った。

自分が今後何かしらの行動をした時に、その行動が「自分の正義」に乗っ取っていたと、胸を張って言えるように。自分にとって、何が正義なのか、それを見極めたい。

冒頭に書いてあったトロッコ問題や、その他もろもろでもそうだが、人生には「正解のない難題」が数多く立ちはだかってくるだろう。その時、その難題を解く鍵となるのが、正義であるはずだ。

その正義を、見つける。その正義を、深める。その正義を、確かめるために、この本書は大きな役割を果たしてくれると思う。

あと何周するか分からないけど、じっくりじっくり正義について考えていこうと思う。

最後にこの本を訳された鬼澤 忍さんにも触れたい。
これからの「正義」の話をしよう。このタイトルは、見事だ。この話を通して、まるでマイケル・サンデルと対話しているような気持ちになった。本当に、自分とサンデルで、正義について会話しているような気持ちになった。
大切なのは、対話だと思う。対話を通すことで、自分の考えを深めていける。
ちっぽけな考えしか持てない僕だけど、この本書や日常の友人・恋人、そんな人たちと対話を深めて、薄っぺらい自分の考えを積み重ねていきたいと思う。



読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2023年1月4日
読了日 : 2023年1月4日
本棚登録日 : 2023年1月4日

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