自虐の詩 (上巻) (竹書房文庫ギャク・ザ・ベスト)

著者 :
  • 竹書房 (1996年5月20日発売)
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本棚登録 : 977
感想 : 136
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働きもせず、呑んだくれでちゃぶ台ひっくり返してばかりいる亭主。

妻の幸江さん、文句ひとつ言わずに
ひたすら健気に後始末…。

どうしてこんな亭主と別れないの?
何故耐えてばかりいるの?

4コマギャグ漫画とは到底思えぬ程に、二人の時間はたっぷりと沈殿して、
亭主が暴れる度に過去の思い出がキラキラと舞い上がる。

幸江さんは生まれた時から薄幸の人であった。
物心ついた時から母は無く、遊び人の父のせいで苦労しっぱなし。
もはやボロボロになるまで働く事など、何の苦労とも思わず、
(好きな人に尽くせる事こそ、最高の幸せ)という信念の元に生きている女性であった。
(昭和の香り漂ってます…)

お顔も貧相で、
貧乏が身に染み付いちゃってる詫びしいヒロインだけど、
少し、羨ましいな。
いや、かなり羨ましいかも…

心から好きな人がいて、彼を信じて決して疑わず、
どんだけ冷たく邪険に扱われても、彼がこの世に生きてるだけで、
幸せ♪と、喜びをかみ締めている幸江さんが、見ているうちにだんだん可愛く見えてくるから不思議だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年4月6日
読了日 : 2012年4月6日
本棚登録日 : 2012年4月6日

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