どんなに理路整然と述べられてみても
実際、
この眼で見たり、体感したわけでもなければ
俄かには信じがたい事柄がこの世にはたくさんある。
神はいるよ、
死後の世界は本当にあるよ、
宇宙人もいるよ、
と、言われても
まだ死んだことも無ければ、神にも会った事が無いので、
私の
「そうそう、私もいると思います。」と、いう言葉には若干の(嘘)が含まれている、ということになる。
・・・が。
「この世に存在する全てのものには意味がある。」
と、いう言葉には、
私のなかに「嘘」がある事を認めたくなかった。
たとえ、いしころいっこにしても、小さな蟻一匹にしても、
(何かあるはず、意味があるはず。)
だが、
それが何か?ってのは
地に足をつけて歩いている間は、わからないような仕組みになってんだろうな~
と、自分のなかのマル秘ファイルに納めてしまっていたのだが、
この物語の主人公である青年が自らの身を犠牲にしたことによって、
その(何か)がわかったような気がしたのだ。
自らの余命を知り、
残された時間をもしも、伸ばしたいのなら
この世から何かをひとつ消せばいいよ、
と、悪魔にそそのかされ、
ひとつ、
またひとつ、
と、およそ自分が生きる為なら
失っても惜しくないであろう、と思われるものを次々と消して行く。
それは、
たかがなんてことはない「モノ」ではあったり、
しゃべらない?「ねこ」であったりしたのだが、
実は青年の人生にびっしりと絡み付いており、
人生に存在していた無数のヒトやモノのなかから
何を選択してきたかによって、
蔓が伸びる方向がいろいろ変わっていたんだ…
そんな世界をちらっ、と垣間見せて頂いた。
(それもファンタジー…)と、一括りにしてしまえばそれまでだが、
この本を選択し、
読んだ私の蔓もまた、
方向転換したような気がしたのだが。
- 感想投稿日 : 2014年1月20日
- 読了日 : 2014年1月20日
- 本棚登録日 : 2014年1月20日
みんなの感想をみる