陰陽師 (文春文庫 ゆ 2-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (1991年2月9日発売)
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感想 : 499

「在るということが一番の不思議だぞ」という話の流れがいっとうに好きだ。人には意識があって、丹精込めて何かを作りあげたそれを大事に思えばそこに何かが宿っても不思議ではないであろうし、そうしたらほとけさまあたりは、そりゃあ時を越えて幾許の人に拝まれているのだから何かしらは、と思い馳せる。無い、とは言えないからこそ、在るということが不思議で。ただそこに、在る。ということが。偶然出会った人がいまだに目の前にいることも、偶然、そこに石ころがあることすら。何が必然で、何が偶然か、なんて、そこに意味を含ませてゆくのは結局、人なのだな、と。「白い闇だ」という表現にはっとした。どこまでも深く、積もる。切ない闇だ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年7月1日
読了日 : 2019年7月1日
本棚登録日 : 2019年7月1日

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