結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2007年1月1日発売)
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本棚登録 : 303
感想 : 34
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一言で言い表すと「どうあがいても、絶望」(笑)電子書籍で一気に読みました。

何となく薄々と感じてはいるけれどもやもやしてて言葉にできないなぁという感じのことを見事に喝破し斬って捨てています。言葉にできない=理解やスキル不足ゆえの「できない」ではなく、恐怖や絶望といったマイナスのものを言葉にしてしまえば受け入れざるを得ない、という類の不可能かなと感じます。それゆえ、すっきりしたような、ある意味絶望して諦めたというか、そんな感じです。
今の日本のこの閉塞感に端を発するのが近代日本から滾々と根深く続く様々な時代背景や政策に基づき、本人の力ではどうにもならないところにも問題があるという点については面白い観点だなぁと思いました。一方で自分のせいではないというある種の安心感と、それゆえもはやどうにもならないという絶望を突き付けられているようです。
是非男性・女性、未婚既婚関わらず読んで頂きたい、そんな一冊です。ただ「女性性」や今の生き方に対し何の疑問も持たない人にはあまり必要なさそうな系統の本に思われます。(そういう人は逆に憤慨しそうw)

「おでん女は敵だ。」に大笑いし、「人生には何も起こらない、何も始まらない、永遠にこの退屈が続くのだ。」という言葉に「人生は究極の暇つぶし」という言葉を思い出し、自己実現だとか生まれた意味だとかいう「自分が存在する意味」を探すという人間の営みそのものが、何だか滑稽に思えてきて複雑な思いでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 啓発
感想投稿日 : 2014年1月13日
読了日 : 2014年1月13日
本棚登録日 : 2014年1月13日

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