溢れるエネルギーがそこにはあった。
彼の中から放出されたエネルギーは、どこにぶつかればよいのか自分でもよくわかっていないように見える。
そういった意味で、彼の詩は大変暴力的で鋭いナイフのようだ。とはいえそれは研ぎ澄まされているわけではない。何かを斬りつけるには十分すぎる力があるが、それがうまくコントロールできていないような、そういった不器用さがある。
それを「若いな」といって捨ててしまうことは簡単であるが、捨ててしまったものは必要がなかったからか。それだけではない。持ち歩くことが苦しかったからだ。その我々が逃げてきた苦しみをある種の暴力的なエネルギーとともに、我々の目の前に現出させる。
きれいにまとまらない詩の数々。それは、きれいにまとまってしまった我々大人に対し、痛烈で辛辣なナイフとなるだろう。
一緒に聴きたい音楽。
BUMP OF CHICKEN『才悩人応援歌』
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2010年8月31日
- 読了日 : 2010年8月31日
- 本棚登録日 : 2010年8月31日
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