これから何度
この小説を読み返すだろう。
区民会館で無料上映された
「ローマの休日」を軸として、
5編の短編に出てくる
登場人物たちが
お互いを知らぬまま、
すれ違い交錯する
タランティーノ的構成の妙。
選ばれた映画たちがまた
どちらかと言えば渋めなチョイスで
そこがまた
映画好きの心をくすぐるのです。
個人的に印象に残ったのは、
友を物語の力で助けようとする様が
どうにも切なく
自分自身が親友を亡くした体験ともダブってくる
「太陽がいっぱい」と、
驚愕な結末が
エモーショナルに胸を打つ
「ペイルライダー」と
映画「サマーウォーズ」は
この物語を参考にしたんじゃないかと勝手に睨んでる(笑)
ラストの
「愛の泉」の三作品は
読後かなり余韻が残りました(>_<)
この小説が描いているもの。
それは
『物語は果たして
誰かを救うことができるのか?』
というテーマだけど、
結論から言えば
救うことができると
自分は強く信じています。
しょせん漫画や小説や映画は
つくり話でしょって
ピントのずれたことを言う人がいるけど、
フィクションであろうが
現実のことであろうが
そんなものは関係ないのです。
それを読んで
(または観て)
どれほど心が動いたかによって
人間は作られている。
円軌道の外という
一人の人間を作っているのは、
友達に聞いた沢山の物語であり、
ドキドキをくれた小説であり、
感動した漫画であり、
たわいない嘘の話であり、
胸躍らせた
思春期に見た映画です。
言葉や物語が持つ力。
傷つけるためではなく、
だれかを守り、
だれかに伝え、
だれかと繋がりあうための力を
自分は信じているし、
金城さんの作品は
それを感じさせてくれる
素晴らしい物語だと思います。
読んだ人すべてに
必ずやポジティブな科学反応が起こるのは間違いない作品だし、
読後は
必ず映画を観に行きたくなりますよ(^_^)v
強く強く
オススメしたい小説です。
- 感想投稿日 : 2012年11月29日
- 読了日 : 2012年11月29日
- 本棚登録日 : 2012年11月29日
みんなの感想をみる