日本映画界きっての名脇役であり、
個性派女優の片桐はいりさん。
噂には聞いてたけど、
まさかこれほどまでに映画好き、
そして映画館好きだったとは思いもしなかった。
エッセイって
好きな作家のパーソナルな部分が見えて余計に好きになったり、
逆に自分が抱いていたイメージとギャップがあり過ぎて落胆したり、
そういうのが面白い。
自分は何冊か同じ作家の小説を読んでハマったら、
次はエッセイを読んでみるのです。
そのエッセイを面白いと感じたら
その作家は自分にとっての生涯お気に入りになるし、
エッセイがイマイチやと小説も次から読む気なくしたり(笑)
自分の『好き』が本気かどうかを計る
「踏み絵」的なものが
僕にとってのエッセイなのです。
ということで、はいりさんは
小説家ではなく女優さんだけど
コレ読んでますます好きになりました。
それにしても
なんという映画館愛!
みずからの出目を問われたら、
演劇でも映画でもなく、
『映画館です!』と胸を張って答えたいと語る
はいりさんがホンマカッコいい。
18歳の頃から7年間、銀座文化劇場、今のシネスイッチ銀座で
「もぎり嬢」として過ごした日々の思い出。
映画『かもめ食堂』の初日舞台挨拶で
東京での上映館は当初一館だけだったにも関わらず、
昔の職場だったシネスイッチ銀座に役者として帰ってこれた奇跡。
(しかももぎり嬢時代の憧れだった小林聡美さんと同じスクリーンに!)
お客さんの笑い声が爆風となって
映画館の重い扉をバタンバタンと押し開けたというエピソードで分かる
昭和の映画館の異常な熱気。
(「劇場が息をしてるよ!」は映画を愛す者だからこその、的を得た表現ですよね)
昔の映画館はゲイやレズの人たちの発展場だったという話。
(自分も何度も襲われた経験があります汗)
指紋を付けないよう触る
映画のパンフレットマニアの話。
うらやましくなる映画館を巡る地方遠征の旅。
そして一番ビックリしたのは
映画館好きが興じて
ナント今でもはいりさんは
もぎり嬢をゲリラ的にやらせてもらってるとのこと!
一目見れば忘れられない(笑)
インパクトある容姿のはいりさんだけに
お客さんのビックリも想像できるし(笑)
自分もはいりさん同様に
薄汚れた路地裏にひっそりと佇んでるような
昭和の香りがプンプンする映画館が大好きでした。
昔は入れ替え制じゃなかったので 一度入場すればあとは観たいだけ観れたし、
(面白い映画は3連チャンとか普通に観てました笑)
80年代頃までは映画と言えば
2本立て3本立てが 当たり前で
一日中大好きな映画に浸っていられた。
(トトロとほたるの墓とかロッキーと角川映画とかね笑)
今ではほとんどなくなった手書き看板の味のある絵。
あの輝くスクリーン。
ポップコーンのバターの香り。
映画が始まる前の 『ビィー』というブザーの音。
映写機から出る光の反射ぐあい。
今から僕はあの甘い闇の中で
映画を観るんだ!という
ドキドキ感、期待感がたまらない魅力だった。
家でまったりDVD鑑賞もいいけど、
映画館でしか得られないもの、
それは『生の体験』です。
当たり前なんやけど
苦労してお金をかけて自らの足を運んで観たもののほうが
あとあとになっても
『記憶』として残っているということ。
客の入りやどういう客層が来てるかによって
時代の空気をも肌で感じられる。
1人でDVDを観るのとは違って、 映画館特有のみんなで笑ったり泣いたりを共有できる感覚 (ライブ感)も
映画館だからこその醍醐味です。
そんな映画館の良さを人に伝えるため、
今日もどこかの映画館で
もぎり嬢をしてるはいりさん。
たった二時間で、
学校では教えてくれない様々な経験を
疑似体験させてくれる映画という表現。
そして人々に生きる活力や希望を与えてきた
映画館という甘ぁぁ~い暗闇に
改めて感謝!
さて、僕が名画座の支配人なら
どんな映画をセレクトしよう。
好きな俳優や監督で縛るのもいいし、
美味しそうな食べ物やお酒が出てくる映画をセレクトしても面白そうやし、
ああ~!また寝れんくなるなぁ~(笑)( >_<)
- 感想投稿日 : 2014年9月28日
- 読了日 : 2014年9月28日
- 本棚登録日 : 2014年9月28日
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