最初に読み始めた時は、今まで争っていた部族同士が婚礼をきっかけに、互いに心を通わせていくストーリーなのだろうと思っていました。けれどそんなことはなく、恋人同士の甘い情景などもどこにもなく、ただ戦という中でしか答えを見出せなかった人々の、それでも深い愛情が静かに、しかし確かに燻っていたというような物語でした。こんな愛情の捧げ方があるのだなぁと、今まで甘い恋物語ばかり読んでいた自分には新鮮でした。けれどある意味とても一途で、とても誠実な愛の話だったのではないかと思います。こんな愛し方をもし現実でしたら苦しくてしかたがないのではないでしょうか。フェルビエの雪蟷螂の冷たくも激しい恋の結末に、共感することは自分には難しいですが、読了後は印象深い余韻に包まれました。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年3月10日
- 読了日 : 2024年3月10日
- 本棚登録日 : 2024年3月10日
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