灰とラブストーリー (キャラ文庫)

著者 :
  • 徳間書店 (2014年10月25日発売)
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本棚登録 : 134
感想 : 20
5

順風満帆で生きてきた大手広告代理店に勤める久我山が、あるトラブルのせいで鹿児島の支局に左遷されることから始まる活火山ラブ。
久我山がとても口が悪くてハラハラさせられます。誰でも心に抱くような愚痴だけど、それを口にしてしまうことで久我山は悪く思われてしまう、損な性格です。
口が災いしてバスの乗客の男とトラブルになる久我山に、おおいに心配させられてしまいました。

根は優しくてお人よしなのに、毒舌のせいで失敗続き。そんな久我山にあれこれ構ってきて、なにかと面倒も見てくれる器の大きいお隣さんが、バスで最悪の出会いを果たした中馬です。
意地を張って中馬には反発したり毒を吐く久我山も、さすがに自然の脅威にだけは勝てなかったのが面白かったです。で、仕方なく嫌いなお隣さんに頼ってしまって…という、このあたりの描き方がほんとに上手くて引きつけられました。
イヤだと思っていた火山灰が、次第に自分にとって大切な意味あるものとなっていく経緯に、心がじんわりとします。桜島に対する思いが中馬に対する想いとオーバーラップしていて、感動的。

中馬がとても寛容で魅力的な攻でした。単にやさしいのではなくて、ちょっとイジワルなところもぐっときました。
オトナな中馬のせいで、いっそう久我山が子供っぽく見えてしまうのも面白かったです。中馬もまた完璧な男ではなく、言葉が過ぎる久我山とは対照的に、言葉が全然足りないんですよね。
まあ、二人でちょうど良いバランスになるのかもしれません。
エロ的にもすごくよかったです。あれです、鼻持ちならない受がベッドですっかりかわいく調教されてしまうギャップ萌えww
砂原センセはこういうエロがものすごく上手くて、超好みです。

お仕事ものとしても左遷で他所に来たという気持ちの強かった久我山が、ここに根を下ろして勝負をかける決意をするまでの様子が力強く迫ってきます。
人助けで貧乏くじを引いてしまった久我山が幸せをつかむ姿に、心から良かったねと言いたくなります。
頑張ったら必ずいいことがあるんだよ、って思えるやさしさあふれる恋物語でした。穂波ゆきねセンセのイラストもストーリーにぴったりでうっとりです!とても萌えました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 砂原糖子
感想投稿日 : 2014年10月28日
読了日 : 2014年10月28日
本棚登録日 : 2014年10月28日

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