「美しい」と漢字表記せず「うつくしい」と表現するところからも伝わってくる、デリケートで優しさにあふれたラブストーリーでした。
山を愛する年下大型わんこ×線の細い年上美人。
高原ホテルを母と一緒に経営している梓は、山に対する複雑な思いを抱いていた自分へ「山が好き」という明快な答えを与えてくれた穂高に想いを寄せるようになります。穂高もまた梓への想いを告げてくるのだけど、身体の不安から二人の関係を進める勇気がないまま遠慮しながらのお付き合いに。
梓の複雑な胸中が丁寧に描かれていて、穂高への一途な恋心ゆえの臆病な気持ちがすごく伝わってきました。
最初は自分の持病のことばかりにとらわれていて後ろ向きだったけど、健康で頑丈な穂高にだっていつ何が起きるかわからないと気づいた瞬間から、梓はとても前向きになっていきます。
その心の変化、成長が心にじーんと響きました。
山は梓の生きようという気持ちや、穂高への恋心の象徴のように感じました。
毎日遠目に山を見上げるだけで諦めていた梓の手をとって、寄り添ってくれた穂高。穂高の愛に応えようという気持ちが、登山したいという意欲につながっていきます。
穂高を好きになって、初めて生きることへの執着が芽生えた梓です。愛のパワーですね!
プラトニックで終わっちゃうんじゃないかと危惧するほどの、清らかラブでしたね。エロティックな雰囲気とは無縁そうな二人なので、ちょっとした身体接触wにもドキドキさせられました。
なので初めて結ばれたシーンは、よかった~!と安堵してしまって、萌えより喜びの方が大きかったです。
Hはラブラブ、あまあまでした!
みずかねセンセのイラストがぴったりで、脳内でイメージが広がりました。ボルゾイのシルフがめちゃくちゃいいw
山ものは好きなので、「天国に手が届く」も読んでみたいと思います。
- 感想投稿日 : 2015年10月22日
- 読了日 : 2015年10月22日
- 本棚登録日 : 2015年10月22日
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