薫りの継承 (上) (ビーボーイコミックスデラックス)

  • リブレ出版 (2015年8月10日発売)
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本棚登録 : 1037
感想 : 37
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ひとつひとつのセリフが無駄がなくて、言葉にこめられた意味を探ると震えるものがあるのもすごいんですが、やっぱり「絵」ですね。個性的で見間違える事がないだけじゃなく、繊細です。そして、セリフに頼ることなく一コマの絵だけで登場人物の心情や物語の真実のすべてを描きつくせる、圧倒的な表現力ですよね。
センセの作品を読むと、改めてマンガの持つ良さに浸ることができます。
特にこの話は、色、香り、味わい、感触、声と、五感をめいっぱい働かせて味わうエロスでした。

今回のテーマは禁断愛。しかも兄弟もの!ちょっと古典的すぎでは…と思ったりしました。
嫌悪に満ちた目で見下してくる兄の忍を、暗闇で義姉と偽り犯してしまう義弟の竹蔵。連れ子として竹蔵が忍の家にやって来た少年期から独立した大人になるまでの二人がダークなタッチで描かれています。

とても耽美的な色調です。すごく懐かしい雰囲気があるストーリーなんだけど、でも昔のただ暗くてドロドロした耽美とは違っていたところがセンセらしく、斬新でした。
竹蔵の兄ちゃん大好き病はともかく、目隠しして待ち構えてるクールビューティーってめちゃくちゃエロ過ぎるんですけど!
ただ自分を嫌う忍が憎くて辱めるために犯すとかそういうエロじゃなくて、歪んだ形でしか愛し合えない、というエロスに萌えました。

そして、もうひとつは要の存在です。
年齢や見た目よりずっと大人びていて、竹蔵をそそのかす度量もあるちょっとコワい少年。
ちょっとしたゲーム感覚だったかもだけど、その結果危険で濃密なエロスを目の当たりにして何かが芽生え、後々さらに大変エロスなことになっちゃってます…
この数年後の話が異常にエロくて!
禁忌愛ってこういうのを言うのね??と昂りました~!
禁断の関係のすごいの久々に堪能しました。
下巻で彼らがどうなってるのかドキドキします…

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中村明日美子
感想投稿日 : 2015年8月24日
読了日 : 2015年8月24日
本棚登録日 : 2015年8月24日

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