当時、タイトルにどん引きして買い控えていた1冊です。しかし、今となってはお気に入りの1冊に。
大人が犬を飼いたくなる理由って何だろう?愛玩するものが欲しいとか、癒されたいとか。
轡田のように淋しかったから、というのも当然ありでしょうね。
自分だけに懐いてくれる愛しいものって、ペットの方がシンプルで恋人みたいに重すぎず、よかったんだろうな。
ふつうにSMものかと思ったら、本当に轡田が倖生に犬のしつけしているんでびっくり。ある意味意表を突かれて、一気に読み通しちゃいました。そこのところのストーリー運びは、さすがだなと。
しかも品は損なわず、でも淫らなテイストがむんむんなんです。
前半は、飼い犬として調教されて困惑や反発する倖生の揺れる胸中が痛いほど伝わってきます。まさに、躾のなっていない野良犬が賢い飼い犬に変貌していくかんじ。そして飼い犬というものは、ご主人様命!だから、捨てられると混乱してどうすればいいのかわからなくなってしまう。倖生が次第にただ甘やかされていることに浸かりきっているだけではなく、轡田の存在なくして生きていけないことに気づくところは心打たれます。
後半、轡田の素性が明らかになってからは、室内から屋外へと、舞台も広がって話も大きく展開。
ストイックそうに見えていた轡田が、実はすごい独占欲の塊だっていうギャップ、いいです。
Hシーンに関しては、最後にすごくいいのがありますが…
でも、それよりももっとよかったのは、轡田のすご過ぎる独占欲を感じさせた「お仕置き」シーンです。ストイックそうな男の抑えたドS感は凄味があってセクシー。調教とか、男同士とか、そういうことに無縁そうだった倖生が鞭でしつけられて感じてしまってる場面は、もう最高にエロチックでした。
- 感想投稿日 : 2010年12月23日
- 読了日 : 2010年8月23日
- 本棚登録日 : 2010年8月23日
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