本屋に平積みされた文庫本を見て食指が動き、図書館で借りる。
「図書館で借りる」習慣が根付いてだいぶ経つが、久々に「作家は買われてなんぼなんだよな、、なんかすみません」という気になったのは、登場人物に作家がいるせいか。
戦後歌謡曲をバックにしたノワール。
ただし、随所に挟まれる歌謡曲はこちら(私は昭和50年代生まれ)に殆ど縁のないものなので、時代に思いを馳せることができず少し残念。
雰囲気としては東野圭吾の白夜行に近くもあるが、白夜行ほど「時代の趨勢が真の主人公」という感じはない。
あくまで、主人公は根津謙治であり、年を追うごとに本人も自覚する通り、悪漢だった若かりし頃のギラギラ感が抜けていくもののあはれに胸が打たれる。
昔だったら、読後に思い出すこともない本だったかもしれないが、おっさんになった今となっては、きっと先々どこかで思い出すんだろうなと、苦い傷をつけられた感もある。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年9月29日
- 読了日 : 2019年9月29日
- 本棚登録日 : 2019年9月20日
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