ぼく・わたしの未来が詰まった現在進行形ポップ純文学短篇集。
舞城王太郎従来のアクの強さは満載ながら、とてもまとまりのよい短篇集。なので、「これは素晴らしいなぁ、舞城王太郎を人に薦めるならこの本からと言いたいな」と思っていた。そしたら最終話の「ピコーン!」でいやいやいやいや、これ人に薦めたら駄目だ、となる。
もう、舞城さんなんなの~(笑顔)、こんなの人に薦められないじゃん~(笑顔)。
勢いに飲まれるキュートな最終話も素晴らしいが、1話・2話収録作もたいへんスマートで唸る。舞城王太郎は軽快ながらもある種の泥臭さがあり、そこが魅力でもあり時にくどくもあるのだが、この2作はそこのところを「書きすぎて」おらずテーマで非常にバランスよくまとめている印象を受けた。
特に表題作にもなっている「熊の場所」は、一読したら何度も思い返す人もいるテーマではないだろうか。
自分の感情と記憶の居場所を普遍的なものにする、それもまた物語の力だなぁと思う。
読書状況:読み終わった
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遠くへ、もっと近くへ
- 感想投稿日 : 2015年11月14日
- 読了日 : 2015年3月4日
- 本棚登録日 : 2015年3月4日
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