乙女の密告(新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2013年1月1日発売)
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本棚登録 : 137
感想 : 17
4

何かっていうと、赤染晶子さんばかり読んでいます。
デビュー作「初子さん」は優に30回以上、「うつつ・うつら」も20回は読みました。
私の愛読書と言っていいでしょう。
赤染さんの魅力は、何と言ってもその独特のユーモア。
どこまで意識して書いているのか。
それとも、赤染さん自身がいわゆる「天然」なのか。
いつかチャンスがあれば訊いてみたい。
そう思っていました。
ただ、赤染さんは2017年に急性肺炎のため死去しました。
42歳の若さでした。
本当に惜しい。
本作は、赤染さんの芥川賞受賞作。
これを読むのは、2度目です。
「アンネの日記」に材を取った純文学作品。
というと、未読の方は、悲劇の人間ドラマや不条理を訴える告発の書をイメージするかもしれません。
えーとですね。
あらすじを説明すると、ある外国語大学が舞台。
そこでは、主人公をはじめとする乙女たちが、スピーチコンテストの題材である「アンネの日記」の暗記に懸命に取り組んでいます。
そこにある噂が流れます。
噂を密告したのはだれなのか。
それをアンネの日記に重ねながら問うという筋書き。
常人には思いつかないですね。
乙女たちの間や乙女たちと教授との間で交わされる芝居がかった高踏的な会話が特におもしろく、夢中になります。
ただ、個人的には、「初子さん」が好きかな。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月28日
読了日 : 2021年8月28日
本棚登録日 : 2021年8月28日

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