小さな読書会の主催をしている。
幸運にも素敵な人と場所に恵まれ、楽しくやらせてもらっている。
主催といっても次回の日程と課題書を決める音頭を取るくらいのものなのだけど、一応そう名乗っているからには多少は運営方法も考えようかと思い、手に取ったのがこの本だった。
しかし正直、あまり期待をして読んだわけでなく、軽いハウツー物かと思っていたのだけど、読み始めたらこれがなかなか面白く、一気に読んでしまった。
読書とは、というところから、読書会の歴史、国内外の様々な読書会についての紹介などもある。
日本で第二次大戦前にたくさんの読書会が開かれていたなんて初耳。
読書とは、で紹介された読者反応論がとても面白かった。
「作者が書いたテキストは、読者が読んで意味をつくり出すまでは紙に落ちているインクにすぎない(ローゼンブラット)」
作者の意図は、これが表すものは、と唯一の正解を追う必要などない、というよりそんなことは不可能だ、という話。
どうも作者が主で読者が従というイメージになりがちで、従の者達が集まって話し合ったところで意味があるのかと言われそうだけれど、そこをあっさり切り返せる小気味好い主張だと思う(もちろん作者が書いてくれての本だし、作者の意図を考えるのも完全に無駄とは私は思わないけれど。でも唯一の正解という縛りから解放されるのはとても良い)。
半分は小学校での読書会に関わる内容だったが、大人の読書会参加者、または読書会に参加したことがなくても読書好きには興味深く読める本だと思う。
一冊の本を読めば、面白かったでもつまらなかったでも何かしらは感じることがある。
それは自分の感情、価値観等を通して得るものだ。
だから、何が面白かったのか、何がつまらなかったのかをもう少し考えて言葉にしてみると、わずかながら自分というものが明らかになるのではないか。
本と映画のレビューを書いているのは、そんな気持ちもあってのことなのだけど、読書会になるとこれが更に複雑化される。
自分の感じたことを人にわかるように説明する言葉をより丁寧に選んだり、思いがけない「なぜ?」に答えたり、全く別の考え方を取り入れて再思考したり。
それがたまらなく楽しい。
もっとあちこちで開かれるようになったらいいなと思う今日この頃だ。
- 感想投稿日 : 2014年11月5日
- 読了日 : 2014年11月5日
- 本棚登録日 : 2014年9月30日
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