「(前略)フェルメールがここに描いたのは、もしかしたら何やら静謐な空間で心が落ち着く、等とは言っていられない胸騒ぎを覚える状況ということもあり得るのではないでしょうか。オランダ絵画はだから面白いとも言え、しかしだったらもっと直接描けよとも言いたくなりますが、きびしい宗教上のしばりの中、それはできなかったのです。」
面白かった!
日本画家が様々な絵画を解説する本で、きっと小難しいんだろうなと思ったらちっとも!
文章上手い…!
しかも、絵によっては自分が画商になり切ったり、画家本人になり切ったりしていて、こんな美術書はなかなかない。
ルソーとピカソの会話が何とも微笑ましい。
更に自分の創作についても書かれていて、とても興味深い。
「怒りや喜びを描いた、という画家の絵もありますが、少なくとも私の場合は、そのような感情は24時間何週間も心の中に固定できませんから、どうしても喜怒哀楽の延長線上にある総体を描くことになります。そうしないと、絵が説明的になってしまうと感じるからです。」
ただ、掲載される絵はページをまたがず、1ページ内に収めてくれたらもっと嬉しかった…。
本の綴じ目で大事なところが見えない絵がちらほらあったのが、ちょっと残念。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2015年11月13日
- 読了日 : 2015年11月13日
- 本棚登録日 : 2015年10月7日
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