月9ドラマが思った以上に面白く、まだ読んでいなかったこちらの本を手に取りました。
この本は、風間が片目を失ってから警察学校異動を命じられるまでの間の、「風間道場」のお話。
短編一個一個で1時間ドラマ作れるくらいのクオリティのものが、6話。
道場生である新米刑事たちが、それぞれの事件で入れ替わるものの、新米刑事たちの個性に応じたエピソードというのはほぼなくて、それは少し物足りなさを感じた。
そして、風間もあまり怖くないような気が…。
このシリーズの時系列(事実経過)的には、
教場0
教場X
教場
・・・と続くわけだが、「教場」が一番風間さん怖かったな。
孤独の胎衣という話で道場生が被疑者に、
「赤ん坊の顔は左右対称って知っていますか?おとなになる過程で、周囲をうかがって作り笑いをしたりするから、大人は顔が歪んでる・・・」(大意)
みたいなこと言うんだけど。う~~~ん、これは、同意できかねる。
表情筋の話をしたかったのであればわかる気もするが、「左右対称」という表現はあくまでも顔の造形を指すのであって、赤ん坊でも片目だけ二重とか、左右非対称の子どもは大勢います。というか、完全な左右対称の顔は何十万人に一人?百万人に一人?くらいの少数者で、左右対称の顔した赤ん坊だってほぼいない。
何が言いたいのかというと、こういう真偽不明、不正確なことを登場人物に言わせるのって私は好きではないのです・・・。
特に短編ミステリーでは、全てのワードが解決の糸口だと思って読んでいるので、こういう謎セリフには混乱する。
・・・とはいえ、おとなになる過程で赤ん坊の頃の笑顔を失ってしまうというのはその通りであって、我が子の未だ左右対称の笑顔(赤ん坊のときから本当に変わらない)を見ると、この笑顔は何歳までかな(この笑顔を私に向けてくれるのは何歳まで)?なんて、時々ふと切なくなるようなこともあり、自分のセンチメンタルとこのセリフが妙にマッチしたりもした。
本作を通して登場する、十崎(風間を襲って片目を失わせた男)と思われる通り魔犯は捕まらないまま。
風間への挑発と思しき行為はエスカレートし、ついに警察内で匿われることになった風間。この十崎との対決はまだ先になりそうだ。
- 感想投稿日 : 2023年5月30日
- 読了日 : 2023年5月30日
- 本棚登録日 : 2023年5月28日
みんなの感想をみる