怒り(上) (中公文庫 よ 43-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (2016年1月21日発売)
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身元不詳の3人の男と、その周囲の人たちを軸に話が進む。

冒頭の殺人事件の描写に、沖縄で高校生が男に襲われる場面…。
読んでて、何の事件にも巻き込まれず暮らせることが奇跡のように感じた。
それくらい、犯罪が日常と一体となってるような描写が秀逸…。

実在する事件をモチーフ?にしながら、ここまで他の人物にフォーカスして魅力的なストーリーにしてるのが本当にすごい。
この人の本は、説明臭くないところも好き。
たとえば愛子の人物像ひとつ取っても、説明臭くならずに、いくつかのエピソードから愛子の人物像が浮き彫りにされていく。

優馬は母子家庭で貧乏だったけど、優馬にとっては楽しい生活であり、「大変だったね」「苦労したね」と他人に言われることが嫌だったこと、お母さん嬉しそうだったよ、と言ってくれた直人に心を惹かれるシーンは泣けたなぁ。

上下に分かれている本アレルギーなので、ずっと読みたいと思いつつ読んでなかったんだけど、読みはじめてしまえばそんなにボリュームもないし、先が気になって一気読みしてしまった。
下巻も楽しみ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2019年4月30日
読了日 : 2019年4月30日
本棚登録日 : 2019年4月28日

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