第9巻 リア王 (研究社 シェイクスピア・コレクション)

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  • 研究社 (2010年9月18日発売)
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感想 : 3
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少しずつわかってきたシェイクスピア。
「道化」の存在と、意外にも下ネタ有りなところ。

『リア王』に対して無礼な物言いをすることを唯一許されていると思われる「道化」。
そして児童書ではシェイクスピア翻訳の大家が下ネタは毎度スルーしている。

確かに悲劇なのだが、なんだかドタバタ感が凄くてむしろ笑えてくる。
でも、そんなツッコミどころ満載な面も含めて意外と面白い。

こんな完全ネタバレをここに書いたことは一度もないが、まあこれはいいかな400年も世間にネタバレされてきたので。
でも一応【以下ネタバレ注意です】




長女ゴネリルと次女リーガンも悪いが、ゴネリルに対してリア王の罵詈雑言は呆れるほど酷い。
リア王の狂ったセリフは真面目に読むと疲れる。

ゴネリルはまだ夫がいるうちから、1人の男エドマンドを、未亡人ホヤホヤのリーガンと取り合う。
何やってんだ、この姉妹。

次男エドマンドの方を信じて長男エドガーを悪者とみなしていた父親のグロスター伯爵が、「ああ、そうだったのか、ごめんよエドガー」的にコロッと心変わりするのが一瞬。
おいおい。

大悪党のエドマンドが「最後に善行を。リア王と末娘コーディーリアを殺せと言ったの撤回するよ」的なこと言い出してコロッと心変わりするのも一瞬。
おいっ。
(撤回令、間に合わなかったし)

オールバニ公爵は忠臣なんだが、「ああ肝心なリア王のこと忘れてたわ」となる。
えっ!

リア王に対するケント伯爵と、父親に対するエドガーの献身ぶりは凄い。
盲目となり自殺したがる父親グロスター伯爵に素性を隠しながら護り続けたエドガー。
父親をうまく騙して助けた策は素晴らしかった。

それなのに最後、「宿敵の弟エドマンドに決闘を申し込みに行くこと」と「ずっと側に居た私はあなたの息子のエドガーでした」と告白したら、ビックリした父親は(たぶんショックのあまりの心臓発作で)死んじゃいましただと。
おいおいっ。



光文社古典新訳文庫にも『リア王』が有るから『ヴェニスの商人』の次は『リア王』を読むことにしたのだが、図書館に蔵書が無かったので、『リア王』は本書でおしまいにする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他(エッセイ ノンフィクション 他)
感想投稿日 : 2023年6月15日
読了日 : 2023年6月15日
本棚登録日 : 2023年6月15日

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