ヴェニスの商人 (光文社古典新訳文庫 Aシ 1-3)

  • 光文社 (2007年6月20日発売)
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感想 : 54
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『ヴェニスの商人』読み比べの4冊目。
このようにひとつの作品を別の翻訳者で読み比べたなどというのは初めてのことだ。
しかも4冊も。

池井戸潤氏の『シャイロックの子供たち』の本文に一言も出てこなかった「シャイロック」って何?と、無知な私はその時点では知らなかった「シャイロック」。
そこから発してこうなったわけだが、意外にどの『ヴェニスの商人』も面白かった。

本書の訳者のシェイクスピアについての解説も興味深く読んだ。
本作の元となる『マルタ島のユダヤ人』(クリストファー・マーロウ)という先行作があったとのこと。
1990年に本書の翻訳者による訳・演出で『ヴェニスの商人』と『マルタ島のユダヤ人』をほぼ同じメンバーで昼夜交互に公演したとのこと。
現在の私なら、絶対に両方観に行きたいところ。

図書館で誰も他に借りる人がいないため、借りた5冊は延長もできて(他の書籍の合間に)やっと4冊読んだ。
(5冊目は全シェイクスピア作品・全原文・全翻訳の電話帳並みの書籍なので無理→返却した)

途中から、次に他のシェイクスピア作品も読みたくなってきたので、どの翻訳シリーズが良いか見極める目的もあって読み比べたが、どれも甲乙付け難い。
1冊前のシリーズだけは文字が小さいので次はやめようと思うが、内容は悪くなかった。

ただし、どのシリーズにも共通している作品は少ないので、とりあえず次は『リア王』かな。

なお、本書では註釈に「ヤコブの母リベカが夫イサクを騙し、異母兄の長男エサウをさしおいて、自分の息子ヤコブを一族の長とした」とあるが、他のキリスト教の書籍では、確かに母はヤコブを贔屓していたが母は同じだしエサウとヤコブは双子だと書かれているものもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他(エッセイ ノンフィクション 他)
感想投稿日 : 2023年6月7日
読了日 : 2023年6月7日
本棚登録日 : 2023年6月7日

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